夏休みを使って鹿児島に行ってまいりました。

もっとも、名目は妻の親戚を訪ねる旅でしたので、観光は桜島を見た程度です。

桜島(松フレーム)

 

義父、義母ともに鹿児島出身ということもあって、挨拶する人の数も多いこと。従兄弟たちに至っては個別に回ることも叶わないので、居酒屋さんに集まって食事をしながら一斉にご挨拶という形になりました。

さて、こういう場になると必ず聞かれるのが仕事の話です。翻訳という仕事がありがたいのは、「英語から日本語の翻訳をやっています」と言うだけで、とりあえず一定程度の話が広がる点ではないかと思います。私の数少ない友人の1人などは、奥様に仕事の内容を説明しても理解してもらえないのだとか。これに対して、翻訳という仕事のイメージをまったく理解してもらえないことは、まずありません。さらに、そこまでありふれた職業でもないせいか、それなりに興味を持ってもらえます。コミュニケーション力に不安のある私にとって、これほど助かることはありません。

 

ただ、わかりやすいとはいっても、翻訳という仕事が正確に理解されているかというと、そういうわけではなく。

 

たとえば、実務翻訳者で「どんな本を訳したんですか?」という質問を受けたことのある方は多いのではないでしょうか。「いやぁ、マニュアルとか契約書みたいな文書を訳している身ですから、名前は出ないんですよ」と答えるたびに、実務翻訳という分野の認知度の低さを感じざるをえません。一般にはまだまだ、翻訳イコール文学または字幕なのだなぁという思いがします。

それから、通訳との混同でしょうか、「翻訳ですか!じゃあ英語もペラペラなんでしょうね!」という反応もよくあります。私個人の話をすれば、留学で使っていたこともあって英会話がまったくダメというわけではありませんが、ペラペラというほど自在に使いこなせるわけでもありません。厚み的な意味でペラペラとは言えるかもしれませんが。それに、英語のスピーキングは、いわば脳内の日本語を英語にして発信する行為ですから、どちらかというと日英翻訳に近いスキルです(・・・だと思うんですが、日英翻訳者の方々、いかがでしょうか!)。

ちなみに、この質問に対しては「話す方はそんなに使わないんですよ」で大体済みますが、英日翻訳者が日英もできるとは限らない・・・みたいな感じで話を発展させるのも面白いです。お仕事で私たちの職業と関わりのある方を除けば、翻訳者などみんな「英語ができる人」なのです。リーディング・スピーキング、英日・日英区別なく。もっとも私だって、PCに解決できない問題が起これば「SEの〇〇さんなら解決してくれるかな?」などと思ってしまうわけですから似たようなもの。よく知らない事象について解像度が粗くなるのは、誰だって同じです。

あとはまぁ、「そもそも日本語の会話スキルが低い人間は英会話の上達が遅いんですよ、私とか」というのも割と好評ですよ。使える人間は限られているでしょうけど。

 

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P.S. 「英文学科だったんですか?」もよくある質問ですが、英文学科だった人は実際少なくない気がするので省略。