みなさま、初めまして。新入社員の嘉汕(かせん)と申します。

山の陰で生まれ、東京の西の外れで育って幾十年。

常夏の島を経て、在宅で自由業をしていましたところご縁をいただき、この春より入社と相成りました。筆不精の若輩者ですが以後よろしくお願いいたします。

…さて、会社員といえば通勤。都内で通勤といえば満員電車。

ホームでは人に酔い、車内では吊り革で頭を打つ。学生以来まともに電車に乗っていない身には、初めは荷が勝ちすぎているように思えました。それでもお気に入りの音楽に浸り、本や電子書籍を読み漁れる生活と捉えれば、むしろ充実した気分になってしまうのだから、人間というのは不思議なものです。

そんな楽しい(?)通勤生活のなか、ふとこうした風景を歌った詩を思い出したので、以下にその一部を抜粋します。

あがるあがるあがるあがるあがるあがる。
おりるおりるおりるおりるおりるおりる。
あがるおりるあがるおりるあがるおりる。

一生に一度の。
或いは二三度あうかも知れない。
そんな顔顔。
たった一度のからだのふれあい。或いは二三度。
遇うことは同時にさようならの。

おりるおりるおりるおりるおりるおりる。
あがるあがるあがるあがるあがるあがる。

一人二本の無数のあしは。
階段をふみそれから何処へ?
そしてまたこの階段をあがってくる。
さようならも言わない。
さようならは背中でいう。

—-草野心平、「メカニズム」

こんな暮らしでさえも詩歌になると思えば、電車通勤も悪くないものなのかもしれません。