「正確性」という言葉の下で

法務系の翻訳では、何よりも正確性が大切だ。そのような言葉をよく聞きます。私たちも、この命題を否定するわけではありません。しかし、正確であるとはいったいどういうことなのでしょうか。

どこかで教えられているとおり、shallがあれば例外なく「ものとする」と訳すことでしょうか。英語の受動態を日本語でも受動態で訳すことでしょうか。そのような訳文は、原文の形の部分を訳文に反映させているだけにすぎません。

私たちは、このような姿勢の訳文を「正確」なものとして正当化することに与しません。大切なのは形ではなく、あくまでも内容だからです。そして何よりも、訳文を使う方が困るからです。


内容を伝えること

原文を読むのが大変だ(あるいは、依頼者が原文を読めない)から翻訳サービスを利用したのに、原文に立ち返らないと意味がわからないのでは困ります。文書の具体的な内容を精査しようにも、訳文の意味がわかりにくければ話になりません。

原文と正確に同じ「内容」を伝えながら、専門の方であれば抵抗なく読める。私たちがお届けしたいのは、そのような翻訳です。


発見した問題をお知らせすること

「原文に問題があっても、そのまま訳せ」といったような言説を目にすることがあります。しかし、本当にそれだけで良いのでしょうか。

たとえば、契約書には多かれ少なかれ間違い・問題があるのが常です。すぐに思いつくだけでも、存在しない条文番号を参照している、指示語の対象が不明瞭である、条項の内容が矛盾しているなど、さまざまなものを挙げることができます。

上に挙げたような問題は、訳文を読まれる方が見つけることもできるかもしれません。しかし、原文を一番精緻に読むことになるのは、翻訳をしている時です。その間に懸念が見つかったのであれば、それを指摘・共有してもらうほうが効率的ではないでしょうか。

私たちは、作業中に発見した問題をコメント等でお知らせします。たとえ結果的に杞憂であったとしても、そのほうが訳文を使う方の手間を軽くすると思うからです。


その文書を使う人に寄り添う翻訳を

私たちが目指すのは、「後工程の手間を省く」翻訳です。

どのような翻訳にも、その後に使う方が存在します。企業の法務部員の方々から、弁護士をはじめとする法律家、その依頼者に至るまで、実際に訳文を利用する方の負担をできるだけ軽くすること。それこそが、私たちの法務翻訳サービスの目標です。

リーガルチェック

リーガルチェックとは、翻訳した契約書などの法的文書の内容に、相手国の法規制の下で問題がないかや、矛盾・不利な点がないかなどを、法律の専門家の視点からレビューすることを言います。たとえばアメリカで作成された英文契約書を日本語に訳したときに、翻訳後の内容に日本の法律に照らして問題がないかなどを確認できます。

当社のリーガルチェックは弁護士が行います。大きな国際取引に用いる契約書や、国をまたぐ争議に関わる文書など、法律の専門家の目でチェックすべき重要な文書がある場合は、是非ご相談ください。

翻訳を伴わないリーガルチェックのみのご依頼も承っております。

海外法規制調査

「海外進出したいものの、現地の法規制がわからず躊躇している」といった課題にお悩みではないでしょうか。提携パートナーの有する国際弁護士ネットワーク(64か国260名)を活かした現地法規制の調査、現地弁護士からのご提案などのサービスも承っております。また、現地弁護士の人脈を通じて、実際に海外進出する際のバックオフィス業務(会計、税務、人事など)を担う業者も見つけていただけます。


法務翻訳つれづれ