いつもどおり私事ですが、このたび、ほんやく検定1級に合格しました。この人また資格取ってる。今回合格したのは科学技術分野です。特許、情報処理に続いてかれこれ3分野めになります。

 

・・・しかし、今回は良くて3級だろうと思っていたので、なんだか不思議な気持ちです。

スガシカオはサラリーマン時代に上司から「自分の作品を可愛がりすぎるな」と言われたそうですが、それと同じで、自分の思う「良い訳」と、他の人が思う「良い訳」とはけっこう違うものなのかもしれません。あるいは、単に手応えというのが当てにならない感覚なのか。

そういえば、初めて1級に合格したときも似たような感じでしたっけ。今から約10年前、取ったのは特許分野でした。検定受験は人生3回目、特許翻訳など生まれて一度もやったことがなく、勉強したことすらありません。ところが、届いた結果はどういうわけか1級合格。今よりもちょっぴり合格率が高かった(5%前後)頃の話です(ちなみに翻訳学校にも通う前でした)。

そもそも、特許の裏付けとなる技術に関して特段の知識がありませんでした。「この分野の特許ならわかります」と言えるものがない状態で「特許分野英日1級」などという肩書を手に入れたことは、一種のバグだったのではないか。当時の私は、そんなふうに思ったものです。

ですから当然、招待された祝賀会でも、大したアピールはできずじまい。思い出といえば、どこかの社長さんが言っていた「資格というのは靴の裏についた米のようなものだ、取らないと気持ちが悪いが、取っても食えない」という言葉と、名刺を受け取るなり「対応分野も書かないなんて」と叱りつけてきた人のことくらいです。

それから10年が経ちました。今では(廃止となった特許分野を含めて)全 6分野でなんらかの級を取っています。うち3分野が1級となれば、さすがに多少の誇らしさを感じなくもありません。

賞状を並べてみました。なお、政経・社会が2級、金融・証券と医学・薬学が3級です。

こうして翻訳の会社の中で様子を見ていると、ありがたいのは「特定分野に強い」人ばかりではありません。仕事を割り振るときには、「幅広い分野で大きく外さない」人材の重要性もまた、無視できないところだったりするのです。その意味では、今回の合格には大きな価値があって、私個人としても自信を持っていいような気がするのでした。

・・・ところで、「1級」の英訳「1st Level」については前々から私、「1st class」の方がいいんじゃないかと思っているんですが、いかがでしょう?

 

P.S. 翻訳祭にも合格者特典の招待枠で参加できることになりましたので、どうぞよろしくお願いいたします。