これいいよ、と友人が教えてくれた無印の読書灯。「弱」にしておくと10時間はもつ優れもの。上部がくるんとカーブして、持ち運べるようになっている。フォルムに惹かれて買ったはいいものの、うちではあまり出番がなく、しばらく埃を被っていた。

最近父が病気をし、足元がおぼつかなくなったため、毎夜この灯りを階段の手すりに引っかけるようにしている。ちょうど良い明るさで足元を照らしてくれ、寝ぼけた父母が天井の灯りをつけずに階段を上り下りするときも少し安心。

昼の間に充電しておいて、日が暮れたら電源を入れて引っかける。その繰り返し。毎夜、暗いなか手に提げて運んでいると、ちょっと不思議な、厳かとも言えそうな気持ちになる。どこか西洋の古い寺院で、夜ごと石造りの回廊に灯りを点して回る修道僧になったような。あるいは、カンテラを下げ夜警に出かける街男になったような。